大黒岳山頂にある方向板を少し通り過ぎたとき、登山道の目の前に彼はいきなり現れた。
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ライチョウ目当てに、悪天候の中大黒岳に登ってきたものの、まさか出会えるとは思っていなかった。
前日乗鞍岳最高峰に登頂。標高2700mにある銀嶺荘に宿泊し、星空とご来光を堪能した。
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その翌日、ライチョウに出会うことを一応の目標にして、前日まだ登っていなかった大黒岳へ。
限られた高山にしか生息していないライチョウは、乗鞍岳のシンボル。
前日見た案内センターの掲示板には、大黒岳と魔王山での目撃情報が記載されていた。
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前日の晴天とは打って変わって、辺り一面雲の中。
ひょっこり顔を出してくれないかと、遠くのハイマツ帯に目を凝らす。
大黒岳山頂に着いたときには、だんだんと風雨が強まってきた。
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諦め半分で来た方向と反対側へ下山を開始してすぐだった。
目の前に突然、岩の上を歩く茶色い丸い後ろ姿が現れた。
あまりの近距離にビックリ。
天候が悪い時ほど現れやすいと本に書いてあったけれど、まさしくその通りだった。
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風雨を物ともせずハイマツの若芽を食す姿に、ただただシャッターを連射した。
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雷鳥はこちらの存在に気付いていても、何事もなかったように食事を続けていた。
雨が強まっても全く気にするそぶりを見せない。
まだまだ眺めていたかったけれど、後ろ髪を引かれる思いで下山した。
今度はいつ会えるだろうか。
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